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実験室のフラスコ 第1話 虚空からのシ者



 俺は、自分の魂に同化した”あの男”の意思を受け継ついだ。
 そして、かけがえのない仲間たちと共に、”あの世界”を混沌の闇に染めようとした元凶を倒し、その後、俺は……



 < 謎の空間 >

「……くっ……まさか、あれほどの負担がかかるとはな」
 ”異なる世界”に行くために、俺は自分の機体の”力”を使い次元の壁の突破を試みた。
 次元の壁を越えるのは、今回が初めではない。
 しかし、”この世界”と”前の世界”との次元の壁は俺の予想以上に厚く、俺、そして機体にかかる負担は想像以上で、意識がとおのいでしまったのだ。
 どれだけの間、気を失っていたのだろうか?
「とりあえず、現状の確認をしなければ」
 コックピットの中で頭を抑えながら覚醒した俺は、まず機体のチェックを行いながら機体のサーチライトを照らし、
 外の様子を見渡す。

 まず自分の目に入ったものは、壁と床、そして頭上にどこまでも広がる闇。
 俺は頭上に向かい、機体のサーチライトを照らすが、光は闇に喰われるのみ。
 次に、床や壁をもう一度照らし、調べてみるとその表面には、まるで幾何学文字のような模様が彫られているのが確認できる。
 模様の入った床や壁を見る限り、どこかの建造物の中らしい。



 外の様子を確認した俺はナビに目を移した。
 おそらくここは、どこかのコロニーの内部なのだろう。
 ところが、
「火星だと!?」
 俺はナビを見て驚いた。
 俺が現在いるのは火星だったからだ。
 何故だ!?
 確かに、”こちらの世界”の地球の近くに出るように座標を合わせたはず……
「特に計器類に異常は見られないな。 だとすると、なぜ火星に出てし……ん?」
 次元の壁を突破する際、装置が故障したのかと思い、調べてみたが特に異常はなかった。
 他の可能性がある原因を思案していると、どうやらセンサーが何かを見つけたらしい。
「あれは何だ?」
 機体を動かしモニターに目をやってみると、キューブ状の物体が設置されてあった。
 俺は、物体が何なのか調べるために、機体を近づけることにする。   



「これは……?」
 物体に近付いてみると、キューブ状の物体には床や壁同様、模様のようなモノが無数に刻み込まれていた。
 この場所といい、この物体といい、謎ばかり。
 もしかしたら、俺がここに出たのはこの物体が関連があるのではないのだろうか?
 そう推論した俺は、物体をよく調べるために、コクピットから出ようとした。
 その時、 キューブ状の物体からある力を感じ、俺は驚愕する。
「……!? こ、この力は!?」
 そう、大きさや形状は全く違うが、俺はこの物体が放つ力によく似ているモノを知っている。

「まさか! これもク(((ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ)))!? いかん! 崩壊する!?」
 アレを思い浮かべた直後、空間がいきなり揺れ始めた。
 揺れは激しく、上から大小様々な岩が降ってくる。
「……む? あれは!?」
 物体をもう一度見ると、なんと物体のすぐそばに子供が倒れていた。
 物体そのものに夢中になっていた俺は、物体の近くに子供が倒れているのに全く気づいていなかったのだ。
「なぜ子供が? ちっ!」
 子供の正体はわからない。
 だが、このままにしておけば降ってくる岩につぶされてしまうだろう。
 急いでハッチを開け、走って子供のそばに近づきに口元に耳を近づける。
 すると、かすかな寝息が聞こえてくる。
 どうやら、子供は寝ているだけのようだ。
(呼吸はしているな……。 この子供は一体? だが……!)
 揺れはいっそう激しくなり、この子供をどうするか、考えている暇はない。
 俺は子供を抱え、急いでコクピットに飛び乗り、サブシートに子供をしっかり固定する。
   
「誰だかわからんが、ここに放置して置くわけにはいかんな。 連れて行くしかないか」
 俺もずいぶん変わったものだ。
 ”あの世界”の仲間たちのおかげで、”人形”にすぎなかった俺には人間らしい感情が生まれた。
 昔の俺ならば、確実に見捨ててしまっただろう。
 あいつらは元気だろうか……。

 そんなことを考えていた時、巨大な岩が物体に落下した。
 だが、物体には損傷が見られない。
「あれだけの衝撃で無傷…… やはり……なッ!?」
 突然、物体が光始め━━



 
< 宇宙 > 

   チュドーーーーン!!!

「な、何だ!?」
 突如、機体を揺らす振動と爆音で、俺は飛び起きた。
 光に包まれた俺は、また気を失ってしまったようだ。
 急いで、モニターを確認する。
「……メギロート? いや、違う!」
 モニターには、虫のような機動兵器が映っていた。
 虫のようであり機体のサイズこそ同じだが、”あの世界の帝国”が使用していた無人機動兵器、メギロートの外見と全然違う。
 しかし、俺が一瞬そうだと思ってしまったのは、あまりにも特徴がよく似ていたのだ。
 飛来する虫の大群のごとくでありながら、一寸の狂いもなく、規則正しく集団で攻撃をしかけてくるのが。
 そう、俺は初めて見たバッタのような機動兵器の大群に囲まれていた。

 どうやら先ほどの振動と爆音は、あの虫のような機動兵器からの攻撃が、
 俺の機体の防御フィールドに当たったことによるものらしい。
「こいつらは無人兵器か? くそ、鬱陶しい!」
 これだけの大群にもかかわらず、しかけてくる攻撃には一切の乱れは感じない。
 腕が良い人間だとしても、ここまできるはずがない。 
 ……あいつらを除けば。



 無用な戦闘を俺は避けたかった。
 だが、やってくる障害はとり除かねばなるまい。
「相手が悪かったな。 今の俺とこいつなら、いくら数で攻めてこようと無駄だ!」
 俺は、あれから数多の世界をめぐり、戦闘の経験をさらに積んだ。
 そして、何より俺はこいつに搭乗している。
 例え数で攻めてこようが、無人兵器に遅れをとることはない。
「しかし、なぜ宇宙に? ……そうか、あれは……」
 まさかと思い、俺はナビに目を移す。
 思ったとおり、ナビの現在位置は地球と火星の間を示していた。

「あれと同じ、または近いモノだ!」
 俺は、自分と機体に起こったことから、そう結論づけた。
 しかし、そんなことはお構いなしに虫のような機動兵器は、執拗に攻撃を仕掛けてくる。
「鬱陶しい奴らだ! ……? あれは戦艦か?」
 機動兵器を蹴散らしながら、別の方向に目を向けると、変わった外見をした白い戦艦と4機のロボットが、こちらと同じ機動兵器から攻撃を受けていたのだ。
4機のロボットは、白い戦艦を護衛しながら戦闘をしていた。
「このままでは、あの戦艦とロボットは全て堕ちるな」
 白い戦艦は攻撃を受け所々で爆発を起こしており、ロボットは良くて中破、中には大破に近い状態のようだ。
 それでももちこたえているのは、指揮官が優秀か、パイロットたちの腕が良いからだろうが……
 このままだとあのバッタのような無人兵器に数で押され、全滅を避けられないに違いない。
 俺はふと考える。
 見知らぬ戦艦とロボット達を助けにいくべきかどうかを。
 だが……
「”この世界”の状況が分からない以上、下手に介入すべきではないな……」
 そう、俺には”この世界”の情報が全く無い。
 自分もこの機体も、”この世界”にとってイレギュラーな存在。
 どちらが、俺にとっての”敵”か分からない以上、無闇に関わるべきではない。
 そう結論づけた時、




『……ぉぉぉぉおおおお! 死んで、死んでたまるかっ! ガイ、俺に力を貸してくれッ!! 『みんなは! ナデシコは!! 俺が、俺が守るッ!!』


 俺の機体が、あのロボットからの通信電波を拾った。
 どうやら声は、ピンク色のロボットのパイロットのようだ。
 そのパイロットの悲痛な叫びが俺の耳を打つ。
「……何かを守るために己の命を散らすか。 どの戦場、どの世界でも、兵士の定めは変わらんな……。 恨むなよ……」
 見捨てるという後ろめたさを感じながら、俺は戦場を離脱するために無人兵器どもを蹴散らしながら機体を地球の方に向ける。
 と、その時、
「……ン? ア、アナタハダレ!?」
 どうやら、サブシートに固定しておいた子供が意識を取り戻したようだ。
 子供は驚きもがくが、体がシートにしっかり固定されているため身動きが取れない。
 見知らぬ人間、見知らぬ場所、子供がパニックを起こすのは当然だろう。
 しっかり固定しといて正解だった。

「……安心しろ、と言ったところで信用はできまい?」
「ワ、ワタシヲドコニツレテイクノ?」
「お前がおかしな動きさえしなければ、安全な場所に連れて行く」
「ウソッ! マタワタシヲジッケンスルノネッ!!」
 子供は見知らぬ俺を恐れているためだろう、ヒステリックな大声を上げる。
 ……しかし、ジッケン? 
 何を実験するんだ?
「マタ、マタイタイメニアウノ? イ、イヤーー! タスケテーー! アキトーーーーー!!」
 恐慌状態に陥った子供は泣き叫んだ。
 狭いコクピットで騒がれては、操縦に集中することができなくなる。
 
「ちっ! やむえん、鎮静剤を打『ちくしょぉぉぉおおおおおおおおお!!』
 メディカルキットから鎮静剤の注射を取り出そうとした時、先ほどのパイロットの叫びが俺と子供の耳を打つ。
 すると、その声を聞いた子供は泣き叫ぶのを止める。  
「……アキト? アキトッアキトッアキトーーー!!」
「あのロボットのパイロットを知っているのか?」
 アキト、アキトと、子供が連呼する。
 知り合いなのだろうか?
 だが、こいつがいたのは……。
 様々な疑問が、頭をよぎる。
 だが、子供はそんなことはおかまいなしに喚く。
「オネガイ! アキトヲタスケテ!!」
 子供は、先ほどの叫び聞いて、この声の持ち主が危険な状態だと察知したらしい。

「ワタシノタイセツナヒトナノ!」
「駄目だ、俺はこの戦闘空域から離脱せねばならん!」
 子供を怒鳴り、操縦桿を強く握る。
 こいつ……くっ!
「ソンナ!? オネガイ、オネガイ、オネガイーーー!! アキトハワタシヲタスケテクレタ。アキトハワタシニナマエヲクレタ。 アキトハ、ワタシニアタタカサヲクレタ。 ダカラ、ダカラ、オネガイ! アキトヲタスケテ!!」
 こちらの都合も考えないで、己のエゴを押し通そうとするこいつに怒りを感じてくる。
 だが、
「なら、舌を噛まないよう歯を食いしばれ! 戦闘の衝撃に耐えろ! いいな!!」
「ウン! ……アリガトウ!」
 それ以上に怒りを感じたのは、見ず知らずの白い戦艦とロボット達を救う為に、戦場に再び向かって行く俺自身の甘さだった。




< ナデシコ・ブリッジ >

 私は、いつものようにブリッジでオペレーターの仕事をしていました。
 ただ、いつもの陽気な雰囲気と違い、絶対的な絶望感がブリッジ、いやナデシコ全体を覆っていましたが。
(ああ……。 もう、私はここで死ぬんだな……。 まっ、いっか……)
 そう思った時、先ほど突然現れ、戦闘空域を離脱していった、正体不明の機体がなぜか戻ってきたのです。



 正体不明の機体は、群がるバッタの攻撃をかわし、またはフィールドではじき、接近してくる機体を鎌で切り裂き銃で撃ち抜き、背中から何かをたくさん射出し、自在に操ってバッタたちを撃ち落し、肩の大砲から放たれた閃光がカトンボの編隊をかき消し、そして、胸部から放たれた光の奔流が、チューリップを包み込み消滅させてしまいました。
 たった1機なのに圧倒的な力。
 あれ?
 変ですね。
 私、震えています。
 これが恐怖というものなんでしょうか?
 周りを見ると、先ほど以上に皆さん恐怖に怯えています。
 おかしな話です。
 周りを埋め尽くした、無慈悲な無人兵器よりたった1機の機動兵器に怯えるなんて、本当におかしな話です。



 巨大な鎌を持ち、翼を広げ、敵を飲み込んでいく姿は、機体の外見もあいまって、まるで悪魔のようでした……。







    < ??? >

「『悪魔王の名を冠した銃神』は、この世界のリリンたちと交わるつもりなのか……。
 さて、どうしようかな〜♪」





第2話 黄泉返るヒーロー!?

 
< ナデシコ・ブリッジ >

 私の名前は、ホシノ・ルリといいます。
 よろしく。
 歳は11で、職業はナデシコという変わった名前、変わった外観、そして、相転移エンジンという謎のテクノロジーを持つ機動戦艦ナデシコのオペレーターです。 


 で、私がオペレーターを勤めているこのナデシコは、ネルガルという民間企業が所有しているので軍艦ではありません。
 しかし、先ほど述べた相転移エンジンのおかげで、現在の地球圏では最強の戦艦だそうです。
 そんなナデシコの目的は何か?
 それは木星蜥蜴という異性人に襲われた火星に、”残された人々を救助”という大義名分を掲げ向かっているのです。
 しかし……。
 発進する時、ありえないことに起動キーを持つ艦長が遅刻し、蜥蜴の攻撃で危うくナデシコごと生き埋めになりそうになったり、火星に向かうことを快く思わない軍人さんたちが地球を出発するのを妨害してきたり、途中で寄港する予定だったサツキ・ミドリというコロニーが、蜥蜴の攻撃を受けてしまい壊滅してしまうなど、ロクなことがありません。
 それでも、人格に難あれど優秀な人材が集うナデシコはなんとか切り抜けてきたのです。
 ですが、いくらこの艦が優秀だといえ、たった1隻で火星に向かうのはやはり無謀だったのでしょう。
 サツキ・ミドリの一件から数日たったこの日、今までにないほどの蜥蜴に包囲されてしまいったのです。
 戦いは数で決まると誰かが言ったそうですが、今日襲ってきた蜥蜴の無人兵器の数は異常とも言える数でした。
 まるで、徹底的にこちらを潰すかのように。


 それでも、性格が変でも優秀な艦長、エステバリスというロボットのパイロットの皆さん、そしてナデシコは必死に抵抗し、その数を半分まで減らすことができました。
 しかし、こちらのダメージも深刻で、押され始めてしまい、ついに年貢の納め時か?と、皆覚悟をしたのですが……。
 まだ、私たちは、神様から見放されていなかったのでしょうか?
 突然、正体不明の機体が出現し、あれほどの数の無人兵器とチューリップを、圧倒的な力で全て破壊してしまったのです。
 皆さん、モニターを見つめながら、あの機体を見て唖然としていると……。
「アキトーーー! アキトハ!? アキトハブジナノ!?」
 突然、女の子、いえ、少女のバカでかい声が、ブリッジに響き渡りました。
 ……あ、インカムを耳に直接つけていた、通信士のメグミさんがひっくり返りました。
 お気の毒に……。
「少し黙ってろ! ……そちらに、アキトというパイロットがいるな?」
「え!? それって、私のアキトのことですか? あなた、アキトのお友達?」
 あの機体のパイロットの方でしょうか?
 少女に続いて、男性から通信が入ってきました。
 どうやら、テンカワさんを知っているようですが……。
 さすが艦長です。
 こんな状況でも、ちゃんと、テンカワさんの所有権を主張するなんて……。
「そんなことは、どうでもいい。 こいつを引き渡したい。 着艦許可を頼む」
 驚いたことに、いきなり着艦許可を求められました。
 それにしても、私たちを助けてくれただけでなく、テンカワさんのことを知っている上に、いきなり知らない少女をこちらに引き渡したいなんて、一体何者なんでしょうか?
 その要求に、艦長は、
「分かりました。 メグミちゃん、あの人の誘導をお願い。 ほら、起きて」
 あの男性に応じ、倒れているレイナードさんの体をゆすったのですが……。
 早いです。 
 判断が。 
 多少なりとも、普通警戒とかしませんか?
 変じゃないですか。
 いくらなんでも、あの異状ともいえるあの機体の性能、そして、テンカワさんのことを知っている上に、知らない少女を押し付けてくるなんて。
「……いいのか? 多少なりとも、こちらを警戒してもおかしくないと思うが?」
「構いませんよ。 あなた、私たちの命の恩人だし」
「………………………了解」
 艦長のあっけらかんとした即答に、あの機体のパイロットと思われる男性が、かなりの間を空けて返事をしてきました。
 どうやら、あの男性も私と同じことを思ったのでしょう。
 ……今回は、あの正体不明の機体に助けられましたが、こんな艦長でこれから先大丈夫なんでしょうか? 



< ナデシコ・格納庫 >

 あの機体に興味が湧いた私は、艦長たちとともに格納庫に向かいました。 
 私たちが、格納庫に着いた時、すでに満身創痍の4機のエステバリスと正体不明の機体の収納は終わっており、テンカワさんたちは、すでに降りていましたが、正体不明の機体のパイロットはまだ降りてきてないようです。
 パイロットや整備員の人たちは、全員正体不明の機体を見ています。 

 ところで、あれほどの絶望的状況だったのにもかかわらず、重軽傷を負った人はいたものの死亡数はなんと0でした。
 悪運が強いのは、さすがナデシコといったところでしょうか。
 まぁ、地球を離脱した直後、この格納庫であっけなく、死んでしまった人もいましたが。

 その人は、パイロットでした。
 名前は、ヤマ『ダイゴウジ・ガイだ!!』さん。
 ……? 変ですね、空耳でしょうか? 
 確かに今、ヤ『だから俺の名はダイゴウジ・ガイ!!』!?
 ……確かに聞こえました。
 この無駄にバカでかい声を聞き間違えるはずがありません。
 どうやら、他の皆さんにも、この声が聞こえたみたいです。
 全員、驚愕の表情を浮かべ、ガイ(うるさいので)さんが死亡していた所を見つめています。
 そこには、ガッツポーズをとっているガイさんがいました。
 ただ、半分透けていましたが……。



「あ、あ、あ、あ、あ……」
 驚き声を出すことができない人。
「ひっひぃぃぃいいい!?」
 腰が抜けてしまった人。
「ぎゃ、ぎゃぁぁぁあああ!?」
 絶叫を上げる人。
「で、出たぁぁぁあああ!? お、おかあちゃーーーん!!」
 悲鳴を上げながら逃げる人。
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏………!」
 一心不乱に念仏を唱える人。
「すまん! 成仏してくれ!!」
 いきなり土下座する人。
「……誰あれ?」 X 3
 誰だかわからない人たち。
「……むぅ……!?」
 ただ唸る人。
「ヤ、ヤマダさん!? じゅ、殉職手当て足りませんでしたか!?」
 慌てて宇宙ソロバンをはじく人。
「ガ、ガイ!? い、生きてたんだな!? ガイ!!」
 死んだはずの親友を見て喜ぶ人。
「あれ? ヤマダさん、死んじゃったはすじゃ……?」
 己の天然ボケを惜しまずにさらけ出す人。
 皆さんの反応は様々です。

 そして私も、 
「……勘弁して」 



 
         その日の私の航海日誌の一文より
         『今日生まれて初めて、私は幽霊を見ました』





第3話 ”この世界”でありえないモノ




 俺の名は、ウリバタケ・セイヤ。
 まー、よろしく頼むわ。
 前職は違法改造屋だったんだが、プロスの旦那にスカウトされて、このナデシコの整備班長に就いている。
 自分で言うのも何だが、俺のメカニックとしての腕は確かなもんだ。
 ま、俺の自己紹介は、これぐらいにしとおこう。
 俺は、今、シートを被された機体の前にいる。

 この機体こそ、我らクルーとナデシコを救ってくれた恩人の機体、ディ……あれ? 
 名前なんだっけ?
 ……まあいい。
 とりあえず、恩人の機体だ。
 ……え?
 なんで、シートを被せているかだって?
 その理由はな……。
 俺は、ある程度慣れちまったんだが、いまだ若い連中が怖がってんだよ、こいつに。

 テンカワやリョーコちゃんたちが乗っているエステバリスも、人型をしているロボットで、顔だって付いてる。
 こいつもそうだ。
 だがな、こいつときたらどうだい!
 きっと、こいつをデザインしたのは、悪魔ばかり描いてるようなヤツなんだろうよ。
 翼がついていて、鎌を振り回し、目を赤く光らせる。
 そして極めつけは顔だ。
 上から下まで、まるで悪魔じゃねーか!

 でもな、外見だけじゃねーんだよ、怖いのは。
 本当におっかねーのは、こいつが放つまるで悪霊の王のごとき得体のしれないプレッシャーだったんだよ!
 おまけにでかい。
 そのでかさときたら、エステバリスの2倍以上だ。
 そんなおっかなくてデカイ悪魔に、常に上から睨まれちゃ仕事になんねーんで、シートを被せているわけだ。



 ところで、着任当初、俺はカタパルトデッキを見て疑問に思ったことがあった。
 でかかったのだ、エステバリスのサイズに必要ないぐらいに。
 このことをプロスの旦那に聞いてみると、設計者が『種』という俺も見ていたロボットアニメが大好きな奴らしい。
 そして、『種』が好きで好きでたまらないそいつは、間違ってエステバリスではなく、そのアニメの主役ロボのでかさを考慮して設計図を提出してしまい、そのまま建造されてしまったようだ。
 ……ありえねーよな、ホントに。 
 普通、誰か気付くと思うんだが……。
 まー、そういうこともあって、格納庫の天井も必要ないぐらい高かった。

「まったく……この艦が、試験艦で助かりましたよ……ハイ」
 と、ブロスの旦那は、ぼやいていたが、そいつのおかげで、エステバリスの2倍以上のでかさがある俺たちの命の恩人の機体をを外に放置せずに、格納庫に入れることができたんだ。





 俺は、この悪魔みたいな機体を見た時、メカニックの血が騒いだ。
 艦とエステバリスの応急処置を若い連中に押し付けて、恩人にダメもとでぜひ調べさせてくれと頼んだら、
「構わん。」
 と、あっけないぐらいの返事でOKをくれた。
「マジか!? やったぜ!」
 俺はすぐに喜びに震えながら、機体を調べ始めた。
 だがな……。
「な、なんだ!?」
 喜んで機体を調べていた俺の腕は、先ほど言った、機体が放つプレッシャーで震えていた。
 いくら得体のしれないプレッシャーを放とうが、機械は機械だ。
 生まれてこのかた機械屋をしてきた俺は、どんな機械に触るときだって腕が震えたことはない。
 だから、そんなことは初めてだったんだよ。

「お、俺が女房じゃなく、機械に震えているだと!? バ、バカな!?」 
 それでも震えながら機体を隅々調べたことと、ルリちゃんに見せてもらった戦闘の映像と恩人の話で分かったことがたくさんあったんだ。
 現在の技術では作れない材質でできた装甲、圧倒的な機動力と運動性、ディストーション・フィールド以上のバリア。
 そして自己修復能力、半永久機関、飛行能力、単独での大気圏の突入や離脱能力等、信じられねぇもんをいっぱい持ってやがる。
 
 おまけに、装備している武器は、戦艦クラスのディストーション・フィールドさえ切り裂き撃ち抜く鎌や銃。
 肩にある可動式の大砲、背中から射出される『種』のドラグーン・システムもどき。
 極めつけは、たった1発でチューリップを跡形も無く消し去った、胸部の内臓火器。

 例え、全てのフレームの長所のみ合わせたエステバリスがあったとしても、こいつの前じゃ玩具だ!
 そう、近・中・遠に対応した強力な武器を装備して、様々な特殊能力を持つ機体。
 まさにオーバーテクノロジー、まさにパーフェクト!
 きっとこの機体なら、種運命の最強クラスのMS、ディスティニー・ガンダムだろうがストライク・フリーダムだろうが、容易く蹴散らしちまうだろうよ!
 ……比べているのは、アニメの機体だけどな……。
 ま、わかりやすくていいだろう?
 だけどな、それだけじゃねー!
 なんでも、人間の魂を司る力まで持っているんだと!
 ビックリだろう?
 これだけはパイロットではなく、機体自身が勝手にやってるらしい。
 こりゃ馬鹿と冗談が総動員だ!
 アニメじゃない! ホントのこ〜とさ〜!!



 実際、この機体がこの格納庫にやって来た直後、死んだはずのパイロット、ヤ『博士! 俺の名は、ダイゴウジ・ガイだって言ってるだろうが!!)
 ……分かった、分かった……。
 ……そいつが、生前の姿(半分透けていたが)で格納庫に現れたんだよ!
 さすがの俺も、その時はびびったぜ!!
(ま、まさか、大気圏の戦闘の時の対応が悪かったのを恨んでやがったのか!?)と思い、「すまん! 成仏してくれ!!」と土下座しながら謝ってしまったほどだ。
 ……それに今、俺の近くにそいつがな、頭に工事用のヘルメット、体には剣道の防具を身に着けているので、格好は違うものの、リクガンガーのパイロット、大地アキラにそっくりの幽霊と会話してるしな。

 どうやら、ガイはヘルメットの奴と仲が良くなったようだ。
 なんでも、大地アキラにそっくりだけじゃなく、リクガンガーにそっくりなロボットに乗っていたらしく、自爆して死んだそうだ。
 だが、海燕ジョーのように、大切な仲間を守ることができたので、死んだことに特に未練はないんだと。
 ……誰かさんとは大違いだな……。
 後、なぜだか分からんが、ガイの声は聞こえるが、ヘルメットの奴の声は聞こえない。
 ただ、口を動かしているので喋っているんだということは分かった。
 同じようにリョーコちゃん、ヒカルちゃん、イズミちゃん、そして、この機体に乗ってやって来たラピスちゃんの4人には、ガイの姿は見えても、声は聞こえないらしい。
 これは、生前そいつと知り合いかどうかの差だそうだ。



 まー、こんな非常識なことでも、実際それがモノホンであって2、3日たっちまうと慣れちまうもんなのか、神経が麻痺してんのかは分からんが、特に何も感じなくなってしまった。
 他のクルーのほとんどの連中もそんな感じのようだ。
 たが、全員が怖くないというわけではないらしく、シートには悪霊退散の御札をはじめ、十字架やら、交通安全のお守りやら、数珠やら、ニンニクやら、しめ縄等、見るたびにわけのわからんもんが付けられていった。

 ……あ、そうそう、実は現れる幽霊はガイとヘルメットの奴だけじゃないんだよ。
 様々な幽霊が目撃されているんだ。
 目撃者によると、眉間に傷がある金髪の男や赤い髪でおかっぱ頭の女、貫禄のある軍人や科学者、果ては変わった格好をした鬼やら天使の幽霊とか、他にもたくさん出るらしいんだが・・・
 その幽霊たちに関することで、俺一つ気になることがあるんだよ。

 昨日俺、『種』のフレイちゃんそっくりな女の子の幽霊を見たんだ!
 その女の子の幽霊は、顔、髪型や髪の色がまんまフレイちゃんだった。
 だけどな、それだけじゃないぜ!
 『種』のフレイちゃんと同じ服を着ていたんだよ!
 いくらなんでも、アニメのキャラの幽霊までここに出るわけないし……幽霊もコスプレをするのだろうか?
 う〜む……。 
 



「さてと、じゃあな〜」
 ふと、横を見ると、ヘルメットの奴の姿が消えていた。
 俺が考え込んでいる間に、どうやら会話が終わったらしい。
「じゃあな、博士!アキトとラピスと一緒にゲキガンガー見てくるぜ!」
「おい! 女の子たちが怖がるから食堂とブリッジには、絶対に行くんじゃねぇぞ!! おい! 聞いてんのか!?」
「はいはい、分かった分かった」
 あいつはゲキガンガーのテーマソングを歌いながら、壁をすり抜けていく。
 その壁を見ながら、
「あいつ、自分が死んじまったこと、理解してんのか?」
 と、呟いてしまった。



         その日の俺のブログの一文より
        『馬鹿は死ななきゃ治らないが通用しない奴を、この目で見ることになるとは思わなかった』







        注:ここから↓は、まだ1度も修正したことがありません。(汗)


第4話 笑顔が似合う”ヒト”


*** 回想 ***
 
 悪魔さんと一緒にコクピットから降りて、テンカワさんに「アキト!」と叫びながら、抱きついたラピスさんの姿を見た時、幽霊として 再び現れたガイさんと同じくらいに驚きました。
 金色の瞳で、オペレーター用のIFSを持つ、私と同じマシンチャイルド。
 しかも、私と同じぐらいの年齢の少女です。
 私が知る限り、私以外のマシンチャイルドは男の子で、しかも5歳ほど年が下のはずです。
 ラピスさんの遺伝子データが、連合政府のデータベースに登録されてないことと、ラピスさん自身の話から、どうやらラピスさんは 非合法の組織で作られたみたいです。
 しかも、私なんかとは比べ物にならないぐらい、酷い人体実験を受けていたらしいです。
 
 その組織からラピスさんを助け、ラピスさんに今の名前を付けたのは、同じ組織の違う研究所でラピスさん以上に酷い人体実験を受け五感をほとんど失っていた人らしいのですが……
 その人は何とテンカワさんだったそうです。
 ところが、テンカワさんは非合法の組織から誰かを助けたことや、誰かに名前など付けた覚えが無く、何よりテンカワさんに人体実験や五感を失った痕跡が無いことから、ラピスさんを助けたのは、テンカワさんに良く似ていて名前が同じそっくりさんだという結論になりました。
 でも、ラピスさんにとってはどうでもいいことらしく、いつもテンカワさんにべったりしています。
 そのせいで、艦長とメグミさんの機嫌がとても悪いです。



*** ナデシコ・ブリッジ ***
  
 現在、ナデシコは、火星まで後3日ほどの所までやってきました。
 当初、地球に引き返すかどうか議論されましたが、ナデシコを救ってくれた悪魔さんが、一緒に火星まで同行してくれる上に、その間はナデシコを守ってくれるそうです。
 どうやら悪魔さんも火星に用があるらしく、寝る場所と食事を提供するだけで、一緒に戦ってくれるとのことです。
 そういうわけで、引き返す案は白紙になりました。

「これ以上出費をしないで済むうえに、予定通り火星にいけるとは助かりました……ハイ」
 と、プロスペクターさんは、大喜びしていました。

 ボロボロだったナデシコは、整備員の皆さんのおかげで何とかなりました。
 エステの方は、OG戦フレームのスペアパーツはサツキミドリ2号とともに爆発してしまったものの、4機の無事な部分を掻き集め、なんとか2機分の0G戦フレームの修理ができたようです。
 0G戦フレームは、リョーコさんとテンカワさんが使用し、ヒカルさんとイズミさんは砲戦フレームでナデシコの防衛をすることになりました。



 悪魔さんが助けてくれてから1週間ぐらいは、こちらの様子をうかがっているのか、ほとんど攻撃がありませんでした。
 ですが、火星が近づくにつれ、無人兵器の群れとの交戦間隔はどんどん短くなってきました。
 現在、バッタとカトンボの群れと交戦中です。

「アキト、ゲキガンフレアだ!!」
「アキト、がんばってーー!!」
 幽霊のガイさんと非番中のラピスさんが、テンカワさんを応援しています。
 ラピスさんは私の負担を減らすために、サブオペレーターとしてスカウトされました。
 ガイさんはメグミさんが怖がるので、ブリッジに立ち入り禁止だったのですが、あまりにも元気な幽霊なため恐怖感が薄れたのか、最近ブリッジに入ることが許されたみたいです。

 交戦が始まってわずか10分ほどで、レーダーから敵の反応がなくなりました。
 戦闘が終わったようです。
 メグミさんがパイロットの皆さんに帰還を指示しました。
 ですが……



 全ての機体の収納が終わった後、レーダーや誰にも気づかれること無く、それは出現しました。
 推測全長2000m以上、全身が真っ白で翼を広げ、手に赤い槍を持ち、唇があり歯が生えている大きな口を歪ませた、まるで人 間のような巨大な怪物がいきなり出現したんです。
 その怪物は、こちらの攻撃を赤い壁で弾きながら口元をニヤニヤさせ、笑いながらこちらに近づき、ナデシコの前でその大きな口を開けて……楽しそうに……



ばっく……ごっくん……





第5話 彼氏彼女の事情



*** ナデシコ・格納庫 ***

「さっきのゆらぎは何だ!?」
 格納庫の所定の位置に機体を移動し、コクピットから降りようとした時、正体不明の敵が出現したと通信がブリッジから入った。
 そしてその直後、俺は身に覚えがある空間のゆらぎを感じたのだ。
 とりあえず、急いでブリッジから送られてきた映像を確認した俺は、
「あれは、初号機と綾波レイ!? ……!? クロスゲートだと!?」
 映ったモノを見て驚愕した。
 クロスゲートはもちろんのこと、初号機と地球の大気圏を飛び出すほど巨大な綾波レイ、その周りにはEVA量産機たちがいる光景には、見覚えがあったからだ。
 クロスゲートがあること、そして補完計画がこれから遂げようとされていることから、ここは”あの世界”とは別の平行世界だと俺は判断する。
 だが……

「……向こうの2機は何だ!? どことなく、ライディーンに似ているような気がするが?」
 俺が最初の世界の過去に戻ったと判断しなかったのは、俺自身もこの機体のデータにも無い、モニターごしからでも強力な力を感じる2機の存在からだった。
 そして、男の顔を持つ天使と女の顔を持つ天使のような機体は、どことなく以前共に戦った機体、ライディーンに雰囲気がよく似ていたのだ。
 特に口から”歌”を放つ攻撃をするなど、武装も似ているものがあった。
 ヤツラは一体!?


*** ナデシコ・ブリッジ ***

 ブリッジは突如出現した巨大な怪物に飲み込まれたこと、さらに新たにモニターに映った映像のせいで大混乱に陥っていました

「ルリちゃん! さっきの巨大な怪物といい、あれは一体何なの!?」
 艦長、あなた私のことを歩く百科事典かなんかと勘違いしてませんか?
 あんなの分かるわけがないでしょう!
「……分かるのは、ナデシコが現在いる場所は、火星の近くではなく地球のすぐ傍だということだけです。 それ以上のことは分かりません……私、少女ですから」
 人間のような巨大な怪物に飲み込まれ、その後ブリッジのメインモニターに映ったものは、大気圏を飛び出すほど巨大な女性でした。
 さらに映像を拡大してみると、サイズがだいぶ小さくなっているものの、ナデシコを飲み込んだ怪物と同じ外見をした機体がたくさんと紫色の機体と男性と女性の顔をした天使のような2体の機体、そして別の方向を見てみると信じられないぐらい巨大なリング状の物体がありました。
 巨大な女性は、紫色の機体をまるで包み込むような感じで、男性と女性の顔をした天使のような2体の機体は、まるでお互いに殺し合いをしているように見えます。
 あれらは一体何でしょうか?
 私が知りたいぐらいです。

「ちょっと艦長! こんな時にふざけたこと言っている場合ですか!?」
 突然、メグミさんが怒声を上げました。
 どうしたんでしょうか?
「へっ!? メグミちゃん、私ふざけたことなんて言ってなんかいないよ?」
「とぼけないでください! ラーーって言ってたでしょう!」
 はぁ? ラーーー? 何ですかそれ……
「ラーーーーーーーーー」
「ほら、こんな……!?」
 いきなり、艦長の声にとてもよく似た声がブリッジ中に響き渡りました。
「え!? 私の声にそっくり!?」
「もういや! こんなことになるのなら声優を続けていれば良かった!!」
「……充実感より、セクハラされてたほうが、ましだったかしら?」
「ナンカ、コノコエコワイ」
「むぅ……」
「なんだぁ? ナナコさん以上に綺麗な声なのに、殺気みたいなものを感じるぜ!!」
 オモイカネの分析によると、どうやら女性の顔をした機体から放たれているようです。
 なんというか、この声には、聞くもの全てを破壊するという意思が込められているような気がします。
 そのせいか、この声を聞いた皆さんの恐怖や不安がさらに上がってしまったようです。

「艦長! 急いであのリング状の物体の中をくぐれ!」
「え?」
 突然、悪魔さんから通信が入ってきました。
「あなた、あの巨大なリングが何なのか知ってるんですか?」
「……あれは一種のワープ装置だ。 急げ、この場に留まれば、ナデシコは確実に沈む!!」
「なんか、SFみたいですね?でも、悪魔さんがナデシコを守ってくれるんなら、大丈夫なんじゃないですか?」
「俺とこの機体だけなら何とかなるかもしれん! だが、ナデシコを守りきる自信は無い!!」
「「えーーーーー!?」」
 これには、皆さんとても驚かれたようです。
 今まで圧倒的な力を誇っていた悪魔さんが、ナデシコを守るのは無理と断言したのですから、当然といえば当然でしょう。

「……分かりました。ミナトさん、リングに向かってください。」
「ちょ、ちょっとユリカ! 彼の言ったことを、そのまま鵜呑みにしてしまっていいのかい!?」
「じゃあジュン君、大きさは違うけど、ナデシコを飲み込んだ怪物のそっくりさんたちや、互いに攻撃しあっている天使たちがこっちに来たらどうするの?」
「そ、それは……」
「それに、今までナデシコを守ってきてくれた悪魔さんが言っている方法だもん! きっと大丈夫だよ。」
 そんな簡単に、結論を出すなんて……相変わらず、お気楽な人ですね。

 艦長たちがそんなやりとりをしているうちに、ナデシコはリングのすぐ近くまでやってきました。
 そして、ナデシコがリングをくぐる際、私はこの悪夢のような出来事から開放されるように、と祈りました。





第6話 BOSS


 俺様の名はボス。
 俺様とボスボロットの活躍で、あの戦いが無事終わり、仲間はみんな元の生活に戻っていった。
 そして、俺たちも懐かしき光子力研究所に帰ってきたってわけだ。


*** ある世界の光子力研究所・格納庫 ***

「ああして・・・こうして・・・よし、終わったぜ!! やれやれ、次はどいつだ?」
「ボス〜、次は紫雲(しうん)の機体ですよ〜。」


帰ってきてから一月ほどたった。
今日は平日だが、俺たちが通っている陣代高校が創立記念日なため休みなのだ。
なので、最近懐がさびしい俺たちは、弓教授に頼み込んで、バイトを回してもらった。
バイトの内容は、ボスボロットを使って、兜たちの機体の整備だったんだが・・・

「ちっ! 次は、あいつのか・・・なぜじゃーいっ!!」
「ボ、ボス!? どうしたんだよ!?」
「ちきしょー、あんのハーレム野朗!!」
やっと、兜のマジンカイザーの整備が終わり、次は紫雲がここに預けた機体、ラフトクランズに取り掛かろうとしたんだが・・・
ああ、カティアちゃん、テニアちゃん、そしてメルアちゃん!
あんなかわい子ちゃんたちが、あの野朗と1つ屋根の下なんてよぉ!
ええ、あんまりじゃないのよ、神様!?

「くっそたっれがーー!!」
あいつの機体を見て、そのことを思い出した俺は、腹いせにボスボロットでラフトクランズをぶん殴った。

ご〜ん!!

「すっきりしたぜ!!」
「「あーー!?」」
「ボ、ボス〜、不味いですよ〜、バイト代に響きますよ〜。」
「そ、そうだぜ!それに下手したら弁償もんかも!」
「うっせい、バーロー!! ・・・ありゃ!?」
いきなり、ぶん殴ったラフトクランズが光って・・・



「ボス、ヌケ、ムチャ! 整備はかどってる?」
「・・・あれ? ボスたちどこに行ったのかしら?」
私はお父様たちに頼まれて、格納庫にボスたちの様子を見に来たんだけど・・・
格納庫はしーんと静まりかえっていたの。
「もう!あいつらったら、すぐさぼって!」
「見つけたら、ただじゃおかないんだから!!」

この時、私はボスたちが異世界に行ってしまったなんて、全然想像してなかったわ・・・



*** ナデシコ・ブリッジ ***

あの、あまりにも現実離れした場所から逃げるために、ナデシコはリング状の物体をくぐりました。
そして、くぐり抜けた先は、アレに飲み込まれた宙域でした。
悪魔さんの言ったことは、正しかったようです。
そのことを確認したみなさんは、歓喜の声を上げました。
ですが・・・

「おい、艦長はいるか!?」
ブリッジに通信が入ってきました。
通信の相手は、ウリバタケさんでした。
ずいぶん慌てているようですが、なにかあったのでしょうか?
「は〜い、ウリバタケさん、どうかしたんですか?」
「格納庫にな、突然奇妙なロボットが出現したんだよ!」
「え、え〜!? ま、またですか!? もう、勘弁してください!!」
その瞬間、ブリッジから歓喜の声がピタッと止みました。
これには、艦長のみならず、私も含めたみなさんも同じ気持ちのようです。



はぁ〜、次は一体何なんでしょうか?
もういいかげん、勘弁して欲しいものですね。
いや、まじで・・・


















『示現流を極めた漢!!フラフープを極めたモノたち!?』



*** ナデシコ・ブリッジ ***

「い、いやああああああああああああーーー!!」
メグミさんがブリッジを、悲鳴を上げて飛び出していきました。
戦闘中なのに、自分だけ通信士の仕事を放り出して逃げるんですか?
あなた、最悪な人ですね。
だけど、逃げたい気持ち、わかります、わかりますよ、メグミさん。
それは私だって。
そして、きっとミナトさんも同じでしょう。
表情を見ればイタイほど分かります。



しかし、このブリッジにいる女性陣の中で、戦闘中にも関わらず、飛び出していけるのは、アキトさんを応援していたラピスさん、役立たずな艦長と声がきれいなことがとりえの通信士を務めるあなただけです。
代わりはプロスさんやアオイさん、ゴートさんそして艦長の代わりは提督がやればよいのですから。



ですが、悲惨なことに操縦士のミナトさんと艦全体を制御するオペレーターの私は逃げることはできません。
これは、神の試練というヤツですか?それとも、あんなのが、少女から大人の女になるためへのステップ何でしょうか?
私には、分かりません。
私は、当分少女でいたいですから。



あれを見れば、男性だって逃げたくなるでしょう。
ですが、いまこのブリッジにいるプロスさんたち男性陣の方々は、あなたと違い責任感のある方たちです。
あのゴートさんでさえ顔を引き攣らせてますが、逃げることは無いでしょう。



「ずぅぅぅぅううううう!!!」
提督は座っていつものように、悠然とお茶を飲んでいます。
さすが、歴戦の猛者は違います。
あなたぐらいのお年ならあの光景を見れば、心臓が止まってぽっくり逝っちゃってもおかしくないんですよ?
さすがで・・・?
・・・?
湯飲みが大きく揺れて見えるのは、気のせいでしょうか?



・・・??? 変ですね・・・
まっさきにブリッジを父親ゆずりのバカでかい悲鳴をあげて飛び出してもおかしくなかった艦長がまだいます。
どうし・・・



「・・・あは、あは、あはははは!アーハッハハハッハー!!!あっはははー!!・・・ジューンくーーん!!ユリカたちも子供の頃あれでよく遊んだよねーーーーーー!!!! あーーーーはっはっはーーーー!!!!」
・・・大変です、艦長が壊れました。



「ユ、ユリカ!? し、しっかりするんだ!! ユ、ユリカは!ぼ、ぼ、僕が守る!!!」
・・・アオイさん、魂までブルッちゃた声で、そのセリフを言ってもかっこ悪いだけですよ?


「で、で、で、出たなーーー!?きょ、きょ、きょ、巨悪星人めぇぇーーーー!?!?」
意外なことに、ガイさんが、かなりてんぱってます。
あなた今、自分が幽霊であること忘れてませんか?
あなただって、ありえない存在なんですよ?
まぁ、あれらの足元にも及びませんが。



ナデシコを大混乱の渦に巻きこんでいるのは、ブリッジの大画面の正面モニターに映った、戦場を飛び回る1度見たら忘れられないような格好をした、無数の巨大な人間たちです。
最悪です。
水の音が聞こえてくる夢の代わりに、あれらが今日の夢に出ることは確実でしょう。



もちろん、人間が20M以上もあり空を飛ぶはずがありません。
月の女王さまから頂いたデータとオモイカネが分析した結果、先ほどのバカでかい巨大な剣を振り回し、月の艦隊を気持ちよく切り裂いていた巨大ロボットを構成していた同じ物質、マシンセルと言われるモノであの外見を構成しているようです。
月の精鋭の艦隊がことごとく敗北したのが良く分かります。
どうやら、女王さまは事前に教えないことで、私たちの士気が下がらないように気を遣っててくれたみたいですね。
それとも、断られるのを恐れたんでしょうか?


ちなみにその姿は・・・

















i`ヽ                        ,r‐'ァ 
 `ヽ::                      ::´
   ヽ ヽ        , -‐--、         / /
    ヽ \      I:::::::I_      _ / / 
     ヽ  ヽ    i,(;;;ノI、;;;)l    ,,/  , '  フゥオオォォオオゥゥ!!!!!
      ヽ  ` ー 、.,ゝ´ヮ`,ノュ_, - '   r'
        ` 、_ /::: `山':::::    /
         ヽ:::::::::::|::::::::"",r‐'
          〉::::::::|::::::::::¨/
         /;;;;;;;/;;;;;;;;;;/
        /;;;;;;;/:::::::::::/
        /;;;;;;; /:::::::::::::ヽ   ))
      /   ヽI,r''"""^~ヽ
     /   ,/ ヽ    ヽ

こんな姿をしています。
おぞましいデザインの服、帽子、サングラス、ブーツなどを着用し、それぞれの色は黒で統一されています。
そして、巨大なフラフープのような武器をその巧みな腰さばきで回しています。
さらに、「フゥゥゥオオオオォォォオオオオゥゥ!!!!!」というバカでかい奇声をあげて戦場を飛び回っているんです。



それも、100体以上の編隊・・・いえ、変態が!!
どれだけの恐怖か分かりますか?



さきほど、メグミさんは逃げる前にモニターのスイッチを切ろうとしてゴートさんに止められてました。
私たちが今いるのは戦場です。そしてナデシコは今、あれらと戦闘しているのです。
指揮する人間たちが外の状況を把握できなかったら、私たちの意識が飛ぶ前に、ナデシコが堕ちます。


えっ?私は、手元のコンソールに集中してればいい?
あなた、どこから来たおのぼりさんですか?
私は今オモイカネとIFSを通してリンクしています。
つまり、ナデシコの外部カメラの情報が直接頭に入ってくるんです。
先ほどの艦長のように、いつ頭が逝ちゃって、キ○ガイになってもおかしくないんですよ?


そのせいでしょうか?
ぴっきーーーーーーーーん!!!
あ、あれは、<HG>!?
突然、頭になにかが閃きました。
これは、もしや女王様が言っていた、この世界の遥か昔にいたといわれる<ニュータイプ>というモノでしょうか?
そういえば、命の危険を感じたときなる人もいたと仰っていました。
私は、どうやら<ニュータイプ>の少女になったようです。
『ああ、オモイカネ、時が見える』


と、その時!


「イ、イヤーーーー!!!タ、タスケテーー!!!ア、アキトーーーー!!!!へ、ヘンタイーーーー!!!ア、アッチヘ逝ッテーーーーーーー!!!!X、XXXXXXヤローーーー!!!!!」
・・・ラピスさん、あなたは強い子供、いえ強い少女ですね。
あれだけの<HG>たちを見てそれだけのことが言えれば、たいしたものですよ。
ですが、もっとXXXXXヤローーーとかXXXXXXヤローーーとかもっとぴったりなモノがありますよ?
あっこれ、オモイカネが今、”さけんでいる”言葉が私の頭に入ってきたモノです。
不味いことに、いつオモイカネのAIの自我が崩壊してもおかしくありません。



女王さまの話では、例えこの<HG>たちに勝ってもまだ先ほどのバカでかい剣を振り回していたロボットを含めた兵器より遥かに強力なモノがあるそうです。
私たちは変態集団<アンセスター>に勝つことが出来るのでしょうか?








 
 
 
        最終話 ザ・グレイトバトル!
 
 
「も、素子ぉぉぉおおおーー!!!!!」
「ごっ!?」
「少佐!? バトー!? ・・・なっ!?」
 少佐とバトーの頭を撃ち抜いたヤツを見て、俺の思考は止まった。
 死んだはずのアキトが、笑いながら銃を構えていたからだ。
 
 

 盗まれたあいつの死体が動いてる?
 俺は、かなりテンッパってた。
「ガイ君、あれはもうアキト君じゃない!」
「??? 何言ってんだ、カヲル!?」
 
 
 
 
 


「・・・ダイゴウジさん。僕もクリムゾン・グループで作られた、非合法のAIなんです。・・・僕は許せないんですよ、世の中のズルイ奴が!」
!?!?
 なんでアキトが、あいつのことを知ってんだ!?

 
 
 
「ネットの中の姿は、笑い男!!今の姿は、テンカワ・アキト!!!だが実体は・・・?」
「まさか!?」
「そのまさかさ!!でも当てても景品はあげないよ? ギャーハッハッハッハッハーーーー!!!」
 ま、まさか、あいつなのか!? 馬鹿な!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 







「私は、華麗なる”実験室のフラスコ”の世界の真の支配者!!ダァァーーーク!ブレィーーーンさぁぁーーーまだぁぁぁあああーーー!!!」
 それでも、俺は信じられなかった。
 しかし変だ!?俺の大親友のアキトはキ○ガイみたいに頭が逝っちゃったヤツじゃねぇ!!
「アキト!変なポー...!!!?げっ!?」
 変なポーズをしているアキトの頭からズルッと髪が落ちた。
「お前、ヅラッ!?じゃ....な..に!?」
「見〜た〜な〜?てっか!? ひょーひょひょひょひょーーーー!!!!!」
 その頭は、まるでハカイダーのようだった。


 
 

「確かに、ボディはアキト君のだが、脳が違うのだよ! 脳が!! そこんとこ、よろしくぅうううううーーー!!!!」
 な、なんてこった!
 じゃあ、あいつの脳みそは、一体どうなったんだ!?

 
 


「喜べよ、ガイ君。ボディを私にくれたアキト君には最高のプレゼントをあげたんだよ。あれを見たまえ!」
 奴が指を指した先には、巨大モニターがあった。
 巨大モニターには、カプセルにぷかぷか浮かんだ脳みそが映っていた。



「説明は面倒だから、はしょるけど、あの脳はアキト君ので、ちゃんと生きてるんだよねぇ。」
「何んだと!?」
「えぇ!? 礼を言いたいてぇ!? いいよ、いいよ、脳だけに脳さんきゅー?こりゃまた傑作? ヒャーハッハッハーー!!」
 くっ、つまんねぇギャグ言いやがって!!
 俺が山田君なの忘れたか!?
 くだんねぇこといってると、てめぇの座布団、全部持ってちまうぞ!!!
 ・・・っていけねぇ、さっきからコイツにペース狂わされっぱなしだ。



 だが、あの時は間に合わなかったが、マサトにたの・・・!?
 誰だあいつらは!?
 カプセルの傍には、釣竿を持った男と特徴的な鼻のじいさんが立っていた。



「私にとっての勝利の鍵!?紹介しよう! へたれ的蟹野朗に代わる新たなる私の英霊<サーヴァント>、ハマちゃんとスーさんだ!!」
 
 
 
 
 

### ハマちゃん & スーさん ###

「コイツかい?北辰って奴と声優が同じって理由だけでハマちゃんをいきなり殺したキ○ガイは?」
「そっす。おかげでオイラ珍魚”第六・魚を司る天使”を釣れなかったっす。」
「恨んでる?」
「うっす。」
「じゃ、殺ろうか?」
「殺りましょ、殺りましょ。」
「<<釣りバカ流・合体>>」

######

 なんだとーーーーーー!?
 あいつらが、キモいポーズで抱き合ったと思ったら・・・



 巨大なダイナマイトになっていた。
 そして・・・
<超怨敵必殺・スーパー・ダイナマイト・ビックバン!!!!>


 激震が走り、映像がぶれる。
 そして元に戻った時、カプセルは消滅していた。
「ア、アキトーーーーーーー!!!!!!?」


 やっと気が狂ったように笑い終わった”奴”は、悪霊の王の声でつぶやく。
「ふっ?どうだい?親友を二度目の前で失うのは?君の表情なかなかのモノだったよ?さて、たくさん笑わしてくれた君たちには、ご褒美として、私じきじきに死を与えよう!!!」


「コーーール!! ケイサル・サレナ!!さあ、殺しあおうか?最も私の一方的な、殺戮ショーになるがね!ヒャーーハッハッハッハーーー!!!」


 
 
 
 

「やらせない!!」
 俺たちを守るためにカヲルはATフィールド張り、ケイサル・サレナの前に立ちふさがった。
「シ者ごときが! 邪魔をするな!!」
「くっ!? こ、これはアンチATフィールド!?」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁぁあああ!!シ者の心の力の壁ごときぃぃぃいいい!!悪霊の王の力とL様の力が究極奥義ぃぃぃいいいーーー!!我が華麗なる絶死・神滅斬を防げるわきゃねぇだろぉぉぉおおお!!軟弱軟弱軟弱軟弱軟弱軟弱軟弱軟弱ぅぅぅううう!!ふぅわはっはつはっははははー!! 怯えろ!! 竦め!!機体の性能を生かせぬまま死んで逝けぇぇぇえええーーー!!」


「やめろぉぉぉおお!! カヲルぅぅうう!!」
 ダークブレイン・アキトが駆るケイサル・サレナの絶死・神滅斬<デス・ラグナ・ブレード>はシ者・カヲルのATフィルードを貫きそのまま、シ者・カヲルの存在ごと消滅させた。
「圧倒的じゃないかぁあ!!!我がダァークゥの科学力はァァァァァァァアアア 世界一ィィィイイイ!!!!さてと次は君かなぁ?いい声で鳴いてくれよぉお?クァーカッカッカッカッ!!!!」
 奴は次の狙いを、はなちゃんもといラピスに定めた。
 その時!



 
 
 
 
 


「ちきしょぉぉぉおおおおお!!!」
 よれよれの背広を着たサエナイ男が、突然現れ絶叫を上げていた。
「・・・ん?貴様は山岡士郎!?いまさら、私の華麗なる日常を取材しに来たのか?ふん!まあいい、貴様の取材は後で華麗に受けてやろう!! その後、華麗に埋めて! 華麗に殺して! 華麗に脳みそを潰してやる!! ケーケッケッケッケーーー!!!!」
 
 


「順番がおかしくて猟奇的だが、この際そんなことはどうでもいい!!!よくも・・・よくもぉぉぉおおおお!!!」



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「俺が食いたかったぁああ!!!珍味”第拾四・力を司る天使”を超えるぅぅ!!幻の珍味<空飛ぶ白いウナギ野郎>をぉおお!!!!消しやがったなぁぁぁぁああああ!!!!!!!!!!」
 
 
 
 

「「「・・・?・・・はい???」」」
 

 
 
 
「くいもんの恨みぃぃぃいいい!!!コノウラミ ハラサズニオクベキカァァァアアア!!!!!AA世界最凶の言霊使いのサーヴァントの力、その身でとくと味わえぇぇぇえええ!!!












 

    ____,,,,,,,,,,,,,,,,、、、
    /            )))
   /    ______,,,ノ
   /    l /    \\ヽ|)
   |    |''''''''''     ''''''''|
   |    | (  ・ )   ( ・ )l
   |     l        l  |
   |  ( ~         _)  |
    |   |      ,―――. l    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    l .|ヽ    ー――' /   < アンキモ、アンキモ、アンキモ!
    ヾ |  \____ノ     \______________

「奇跡の呪文! アンキモ!アンキモ!アンキモぉぉぉおおお!!」




 



 
 
 
 
 
 
 
 
 



 
 
 
 
 



「わーはっはっはっはーー!!ワーハッハッハッハッハーーー!!!」
笑う魔人が笑いながら、どこからか、凄まじいスピードで飛んできた!!!





「わーはっはっはっはーー!!ワーハッハッハッハッハーーー!!!」
笑う魔人が笑いながら、ケイサル・サレナをぶん殴る!!!100万のダメージを与えた。
「な・・・に・・・!?」





「わーはっはっはっはーー!!ワーハッハッハッハッハーーー!!!」
笑う魔人が笑いながら、ケイサル・サレナを踏みつける!!!500万のダメージを与えた。
「ば・か・・な!?」





「わーはガリはっはっはーー!!ワーハッハッハごりハッハばきハ!!ごっくん!!!」
笑う魔人が笑いながら、ケイサル・サレナを口に放り込み噛み砕く!!!そして飲み込む!!!
会心の一撃!!1億のダメージを与えた。
「た・・しゅ・・けて・!?」
「ぎゃ、ぎゃあああああああ!?!?!?」





「わーはっはっはっはーー!!ワーハッハッハッハッハーーー!!!」
笑う魔人が笑いながら、凄まじいスピードでいずこかへ飛び去った!!!










 
 
 
 


 
 
 
 


「ウトノキーーーフ!! 休みだからって!! いつまで寝てんのーーー!!起きなさーーーい!!」
 がばっ!!!!
「はっ!?!?」











真の最終話?  夢か、現か、幻か、それとも電波!? イイトシした大人だけど「アニメじゃない」男!?


        
 学校を卒業し、地元の会社に就職してかなり経った今でも俺は、親離れ出来なかった。
 いわゆる、パラサイト・シングルというヤツだったのだ。



 起きあがり目を開けると、怒りの表情を浮かべお袋が仁王立ちしていた。
「もう昼よ!あんた、休みだからって、だらだらしすぎよ!」
「あ〜わかったわかった。」
「しゃっきりしなさいよ!!」
「いや.・・・変な夢を見てさ。」
「夢?」




 俺は自分が見た夢の内容をお袋に話した。













<ウトノキフが書いた、SSの内容全部>
\________ ________/
             O モワモワ
            o

     ____,,,,,,,,,,,,,,,,、、、
    /            )))
   /    ______,,,ノ
   /    l /    \\ヽ|)
   |    |''''''''''     ''''''''|
   |    | (  ・ )   ( ・ )l
   |     l        l  |
   |  ( ~         _)  |
    |   |      ,―――. l    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    l .|ヽ    ー――' /   < という夢をみたんだ。。。
    ヾ |  \____ノ     \______________



 お袋は呆れた顔をして、
「ウトノキフ!いい年してアニメばかりみてるからそんな夢を見んのよ!! そんなんだから、2X年生きてんのに恋人が1人もできないのよ!!」
 耳が痛くなるようなお袋のセリフが、俺のガラスの心に突き刺さる。
 お袋は怒りながら、アニメの見過ぎと言うけど、俺はすごいモノを見たんだ!
 夢を見ている間、これは現実じゃないか?と思うぐらい、ホントに不思議な気持ちでイッパイだったのだから。




 クッ、いまにみてろよ!! お袋!!
 おたくロードを極め、いつか”エルメス”みたいなイイ女をモノにしてみせるからな!!



           おしまい?





夢の実現!?  劇場版『ネオゲキガンガーVS真ゲキガンガー』


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 











 
 
 



         が・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
                                              /|
                                          ∧ ∧/ レ
                           /⌒〜Y⌒"""ヘ   ヘ∨ ∨
                         /⌒/   へ    \|\
            /           /  /   /( ∧  ) ヘ ヘ
           く           // ( /| | V )ノ( ( (  ヘ\      実
    ┘/^|    \         (  | |ヘ| レ   _ヘ|ヘ ) _ヘ       現
    /|   .|              |  )) )/⌒""〜⌒""   iii\       す
     .|  α  _          ヘ レレ  "⌒""ヘ〜⌒"  ||||>    ね る
          _∠_       イ |  |  /⌒ソi   |/⌒ヘ  <    | わ
     _     (_        ) ヘ  | ‖ () ||  || () ||  _\   だ け
     /               (  ) ヘ |i,ヘゝ=彳  入ゝ=彳,i|\    ろ
    /ー               ( /  """/   ー""""   >   |
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            \         ) )..|  |ヘL|_|_L/ / /  ,,,,--(/Vヘ)(/
                       / ( .|ヘ \_ヘ |_/ / /
                       イヘ /彡  ∪/し   /
                        ヘレ\レiiii||||iii(iii||//
   まさに 外道!!!
   




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